MAZDA ROADSTER
マツダ ロードスター M2 1001 【走る機能以外は必要なし】
「M2(第2のマツダの意)」というマツダの子会社は「感動のあるクルマ・生活」を提案する新商品企画会社で、
1991年~1995年にかけて東京都世田谷区を本拠地とし、1001/1002/1028という名車と呼ぶべき3台のコンプリート車が誕生しました。
今回、M2社が初めて手掛けたコンプリートカー「M2 1001」を入庫しましたのでご紹介いたします。
プロジェクトリーダーは、当時M2の常務であった立花啓毅氏。
初代FFファミリアやRX-7(FC)、そしてユーノスロードスターなどのプロジェクトリーダーを務めてきたエンジニアです。
その立花氏の「理想を実現にする」というコンセプトで開発されたのが1001で、当時のリリースには「本格的硬派なライトウエイトスポーツ」と記載されていました。
可愛らしいNAロードスターがここまでレーシーに変身、さらに300台の台数限定で発売。
発売告知後、購入希望者はM2本社ビルに来訪し、直接申し込みをする必要があったにもかかわらずおよそ7倍の応募があったというのも納得の一台です。
厳選な抽選後、幸運にも当選したオーナーは再度本社まで出向き、クルマを引き取る必要がありました。これはM2社のブランドを高める実に上手な演出でした。
実際に1001のハンドルを握ると、リリースに記された「本格的硬派」が大げさではないことをご実感いただけます。
ズシリと重いステアリングフィールと、それに反比例するかのように軽快に吹け上がるエンジン。
排気量はそのまま、ハイカム、ハイコンプピストンなどで圧縮比を10.67にアップ。ポート研磨も施され、最高出力は130psに、最大トルクも15.1kgmまで高められました。
向上したコーナリング性能とトルクアップしたエンジンによって、ノーマルよりも確実にワンランク上のスピードでコーナーを駆け抜けます。
専用エキマニ、軽量フライホイール、もちろんECUも専用、吹け上がりと太ったトルクでノーマルのB6とはひと味もふた味も違うチューンドエンジンに仕上げられています。
足回りも1001スペシャル。スプリングレートを20%アップして車高は約10mmダウン。
ショックもSHOWA製の別注品を採用していたほか、専用スタビライザーやブッシュなどにも強化タイプが採用されています。
さらにノーマルはビスカス式LSDに対し、1001は機械式LSDを搭載したことで、アクセルワークで挙動をコントロールできる楽しみが増加。
CIBIEフォグランプをビルトインしたバンパー、アルミ砲弾型ドアミラー、アルミ製フィラーキャップ。
ブルーブラックの渋いボディカラーのみの設定。内装はセンターコンソールを取り、アルミリングで止めたカーペットのみ。
バイクのようなメッキリングのメーター、バフがけのステアリング、アルミのドアインナーハンドル。太目のアルミ製4点式ロールバーはビニールレザーで覆われています。
バケットシートは小振りでクッションが厚いタイトな設計。
パワーステアリングもパワーウインドーもエアコン(オプション)もなければ当然、ドリンクホルダーもなし。
まさに「走る機能以外は必要なし」という強烈なメッセージに多くのファンが惹きつけられました。
とにかく全身くまなく手を入れられた拘りの一台。いまなお、伝説の一台として語り継がれています。